ついに今月末となった第24回 職人と丁稚の木工展。
全3回にわたって、職人や研修生(丁稚)へ木工展に向けた想いをご紹介していきます。
第1回では、秋山木工の工場長である山本へインタビューを行い、木工展への想いを知ることができました。
第2回の今回は、五年目である岩田と三年目の佐藤の二人にインタビューをお届けします。

(左)五年目 / 岩田洋彦 (右)三年目 / 佐藤修悟
ー 今日はよろしくお願いします!
さっそくですが、お二人はどんな作品を今回の木工展に出品されるのか教えてください。
岩田洋彦(以下、岩田):
今のところ4点あります。
大きいものでいうと、今はちょうど作っているアンティーク家具のライティングビューローですね。蓋もできるし、テーブルにもなるものです。
あとは、オープンの飾り棚です。これはどこにどんな向きで置いてもいいような、自由度の高い飾り棚になっています。それから、スツールと傘かけ。傘立てじゃなくて、傘かけを作りました。
そのなかでも、今回の木工展で一番注力しているのはライティングビューローですね。
ライティングビューローを作るにあたり、実際に店舗に並ぶような商品を自分でも作ってみたかったというのと、少し挑戦をしてみたかったというのがあります。
実際に製作に入ると、家具の基本が詰まっていることを知り、とても勉強になることがわかりました。
取り返しがつかないほどではないのですが、製作途中でうまくいかないこともあり、でもその対応方法の中で新しい気付きや技術や発見が多くありました。
今回の学びを活かして、丁稚の修了作品でも活かしたいと思っています。
佐藤修悟(以下、佐藤):
僕は今回5作品を出品する予定です。
1つはまだ制作途中で、間に合うかどうかギリギリといった状況ですが、製作が終わっているのがデスクと飾り棚とベンチと座卓の4つです。ちなみに、今作っているのはコートかけです。
なかでも、ベンチとコートかけ、デスクは使ってもらえる姿をイメージしつつ、でも自分が作りたいものを融合して作ることができました。
ベンチに関しては、いとこが新しく家を建てるので、そこに置けるように。また、コートかけとデスクは、弟が来年大学に進学して一人暮らしを始める予定なので、その時に使ってもらえるのではないかなと思って作りました。
ー 4点も5点も作るんですか!すごい。
お二人ともいつ頃から木工展に向けた作品について考え始めるものなんですか?
岩田:
ものによって異なりますが、ライティングビューローはゴールデンウィーク明けくらいからちまちまと考え始めていました。でも、オープンの飾り棚はお盆前ごろですね。作り始めたのは10月中旬くらいで。時間をかけるものとかけないものとありますね。
また、自分はずっとこの家具なら作れるなとか、こんな家具を作りたいなとかは常に考えています。
佐藤:
僕は割と行き当たりばったりかも(笑)
でも、大体はお盆前に考えて少し作ってみて、またお盆休みでゆっくり考えて、また作ってみてという感じですね。
ー お二人とも今回たくさん出品されますが、それでも本当はこれも出品したかったというものはありますか?
岩田:
結構数ありますね。
今回作ったオープンの飾り棚は、平行と垂直のデザインで制作しましたが、本当はもっとグネグネと曲げたデザインにしたかったんです。ただ時間が足りなくて諦めました。
それから、ラダーラックも作りたかったんですが、これも時間がなくて。
佐藤:
作りたいなって思っているものがあっても、今の自分の力じゃなかなか作れないこともあります。
僕は可動式の動きのある家具を作ろうとしていましたが、技術が追いついていないのに手を出してしまって、出品できませんでした。
技術が足りているかどうかがわからず、手を出しちゃったんですよね…。
ー 作りたくても、難しすぎて出来ない場合もあるんですね。
でもそうやって、作ってみたいなという家具が思いつくってことは普段から
情報収集を積極的にされているってことですよね?
岩田:
なんとなくどこに行っても、つい家具が目に入りますよね。
そうしたら、この家具はどうやって作ってるんだろうなって考えます。
佐藤:
僕は、お盆とお正月に家族と買い物にいった際に、家具屋さんに寄ったりします。
ー では、今回の作品で、作っていて難しかった点や、こだわりの点を教えてください。
作品点数が多いので、自分が推したい作品について教えてもらえればと思います。
岩田:
僕は2つの作品について、話させてください。
オープンの飾り棚でこだわった点は、どの方向で使ってもらってもいいように仕上げたことです。縦でも横でも。
その人の好きな置き方で使っていただける作品にしました。
もう一つのライティングビューローは、アンティーク家具なので、そういうのが好きな人に使ってもらえたら嬉しいです。形的には可愛くできたと思っています。
佐藤:
僕は、ベンチを見てもらいたいです。
最初にもお話した通り、いとこ家族が使うことを想像して製作したんですが、まだ小さいお子さんがいる3人家族なんですよ。なので、3人で座ってもゆっくりできるように、大きさは二人がけなんですが、あえてちょっと広く作ったところがこだわった点です。また、角を丸めて小さいお子さんが危なくない工夫もしてあります。
あとは、木材らしさを残すデザインがベンチには多いのですが、それだと面白くないなと思って、あえてそうではないデザインにしました。
ただ、そのために木材の皮を剥ぐ作業が難しかったです。仕事でやったことはあったものの、自分でやってみると調整が難しく、先輩の職人さんたちは普段とても簡単そうにされているので、やっぱりまだまだかなわないなと思いました。
ー では、最後に意気込みを教えてください。
岩田:
全部売れると嬉しいです!
佐藤:
今回の作品では、いとこや弟を思って作ったということを感じ取っていただけたら嬉しいです。
また、いいと思ってくださった方がいれば、どなたにご購入いただいても大丈夫です!
ー お二人とも、お忙しいところありがとうございました! こだわりの作品を会場で見れることを楽しみにしています。